「老後の備えは自分で作らなくてはいけない」そんな危機感がコロナ禍でさらに膨らみ、投資を始める人が増えている。しかし、そうはいっても奥深いのが投資の世界。慣れれば慣れるほど疑問や不測の事態に直面することも増えてくる。

そこで、この連載では「資産形成3年目だからこそ知りたい」用語や投資情報を解説する。第13回は「決算短信」について。決算短信をマスターすれば、企業の業績や財務情報をいち早く知ることができる。今回は決算短信の基本的な読み方や、類似資料である「有価証券報告書」との違いについて解説していく。

決算短信は「経営状況の要約」の速報

決算短信とは、企業の決算内容の要点をまとめた資料のこと。決算発表時、各企業のホームページや金融庁が提供する閲覧サイト「EDINET」で公開され、投資家が企業の財務情報や経営状態を把握するのに役立てられる。

上場企業については証券取引所の上場規程によって公表が義務づけられているものの、連結か非連結か、会計が日本基準か米国基準かなど形式は様々だ。ただ、売上高や資産の状況、業績予想などの基本情報はどの企業も決算短信に掲載される。

また、決算短信は事業年度の終わりだけではなく、3カ月ごとに開示される。これによって投資家はタイムリーな判断材料を手に入れることができる。

たとえば、スタートアップなどの新興企業の業績は激しく変動する傾向があり、通期決算だけでは判断しづらい場合がある。四半期ごとの決算も確認することで、会社予想に対する進捗状況や今後の展望もきめ細かにチェックできるというわけだ。

決算短信は市場予想と比較して参照されることもある。業績が市場予想よりも良い場合、投資家たちの期待で株価が上昇する。一方、市場予想を下回ると売り注文が増えて株価下落の可能性があり、決算発表の前後は株価が動きやすいといえる。