障害年金も2階建て
まずは、公的年金制度の障害年金から解説します。
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。年金の世界でよくいわれる「2階建て(基礎+厚生)」は障害年金においても同様です。
障害基礎年金は障害の重いほうから障害等級1級、2級に該当している場合が対象で、一方、障害厚生年金は1級、2級のほか、2級より軽い3級に該当している場合を対象としています。
障害基礎年金は定額(2022年度の年額:1級は97万2250円、2級は77万7800円)、障害厚生年金は本人の厚生年金加入記録に基づいて報酬比例で支給されます※1。
※1 障害等級1級の場合は報酬比例の年金(2級・3級)の1.25倍の額で計算されます。厚生年金被保険者期間が300月未満の場合は300月にみなして計算し、また、3級の場合は障害基礎年金がないため58万3400円(2022年度の場合)の最低保障額があります。
障害認定日(初診日から1年6カ月経過した日または1年6カ月前に治癒した日)に障害等級に該当し、その他受給に必要な要件(保険料納付要件等)を満たせば、障害年金の請求をして、受給できるようになります。また、障害認定日時点で障害等級に該当していなくても、その後65歳になる前に障害等級に該当して請求すれば受給できるようになります(事後重症請求といいます)。
なお、20歳前の国民年金未加入中に初診日のある障害の場合は、少なくとも20歳になってから障害基礎年金の対象になります。
障害年金の対象となる障害とは?
障害年金の対象となる障害は、視覚・聴覚といったものから、肢体(指といった末端から、歩行などその範囲はさまざまです)、また循環器、呼吸器、嚥下機能、腎機能といった内臓疾患に関わるもの、さらには精神疾患まで広範囲です。意外に知られていませんが、抗がん剤の副作用もその内容によっては障害年金の対象になることがあります。いずれも共通しているのは、等級によって程度の差はあるにせよ、日常生活に制限があるということです。
必ずしも「この病名だから障害年金が受けられる」「この病名だから何級」と決まるわけではなく、原則として障害年金請求時の診断書の内容をもとに障害等級の判定がされることになっています。