養子縁組で法定相続人を増やす

養子縁組をすると、子どもが増えるので相続税の基礎控除の金額も上がる可能性があります。例えば子どもが2人いる方が孫と養子縁組をすると、「子どもが3人」として基礎控除を計算できます。すると孫の分、相続税の基礎控除枠が600万円増えるのです。

養子縁組をしたことで、課税対象遺産額が600万円減るので、相続税の節税につながります。

孫への遺産受け渡しによって一代飛ばせる効果もある

孫と養子縁組をする場合、基礎控除以外にも相続税の節税効果を期待できます。もしも養子縁組しなければ、まずは子どもへの相続、子どもが亡くなったときの孫への相続が発生するので、孫へ遺産が行き着くまでに2回分の相続税を払わねばなりません。一方、孫と養子縁組をすると孫へ直接遺産を受け継がせられるので、相続税を支払う回数が1回で済みます。

このように孫へ遺産を受け渡すことにより、相続を一代分飛ばして節税する効果も期待できます。

2人の孫と養子縁組

以上の知識を得た松村さんは、「それなら孫と養子縁組しよう」と思い、長男の息子と娘の2人と養子縁組しました。松村さんには長男と次男、長女の3人の子どもがいるので、養子縁組によって孫(長男の子ども2人)を入れると相続人数は5人になりました。

松村さんは「これで2人分の法定相続人が増えて基礎控除枠が1200万円増えるので、相続税を大きく節約できるはず」と考えていました。

養子縁組の落とし穴

その後、松村さんが死亡して相続が発生しました。そこで子どもたちが税理士に相談に行って相続税を計算すると、松村さんの考えていたこととは全く違うことが判明したのです。

●まさかの相続トラブルに発展!? 続きは後半記事【「孫を養子に」資産家一家で骨肉の相続トラブル…“無知”が招いた悲劇】で紹介します。