岸田首相が打ち出す「資産所得倍増プラン」に関する報道が耳目を集めているように、投資による資産形成に多くの人の関心が寄せられています。人生100年時代を迎えつつある日本において、これからは「預貯金がわりに投資でお金を育てる」ことは必須になると言えそうです。

とはいえ、「どんな商品を選べばいい?」「株価チャートの値動きが気になってしまう」etc. 投資にまつわる不安は多くの人について回るもの。

こうした不安に対し、これまで数千人に資産運用のアドバイスを行ってきたIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)福田 猛氏は、“買った後はほうっておけばいい”投資信託の「積み立て投資」こそが、シンプルかつ最高の投資法だと提唱します。

そんな投資信託の「積み立て投資」について、その本質や“最高”であると言える理由、そして具体的な商品選びまで、分かりやすく解説されたのが書籍『お金の不安から一生自由になれる考えない投資生活』です。

今回は同書の第3章「コロナ禍でも勝てた人の習慣」の一部を特別に公開します(全3回)。

※本稿は福田 猛著『お金の不安から一生自由になれる考えない投資生活』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

投資信託はおいしいブレンドコーヒー “おいしいもの”なら資産は4倍にも

コーヒー好きの方ならご存じだと思いますが、世界中にはさまざまな味と香りの特徴を持つコーヒー豆があります。それぞれの特徴を生かしつつ、異なる産地や品種の豆をうまく組み合わせることで、よりいっそうおいしいブレンドコーヒーになります。

ブレンドの仕方によって苦味が強くてしっかりとした味わいにすることもできるし、爽やかでフルーティーなコーヒーに仕上げることもできます。世界中のコーヒー豆に精通してバランスよく、狙い通りの味にブレンドするのがブレンダーの腕前です。

私は、投資信託の商品は、プロがブレンドしたコーヒーと同じようなものと考えています。

投資信託はファンドマネージャーが選んだ数十、数百の銘柄で運用されます。投資対象は国内外の株、債券、不動産系のREIT、外貨、デリバティブなど。それらを組み合わせてひとつの商品にします。

どんな銘柄を組み込むか、国内と海外の株をどれぐらいの割合でブレンドするのかなど、ファンドマネージャーの「目利き」によって決まります。

コーヒーのブレンドと同じく、投資信託も腕のよいファンドマネージャーが運用する商品を購入すれば、1+1=3にも4にも10にもなる可能性があります。

投資信託で、14年で資産が4倍に増えた例があります。

下の図は実際にある商品ですが、2006年7月から2020年9月までの約14年間、毎月5万円ずつ積み立て投資をしたときの成績です。

毎月5万円×14年間で、約855万円の投資。それに対して、評価額は約3300万円に増えています。4倍に増えたということです。

●「SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ」の評価額の推移

 

この間に、リーマンショックも東日本大震災もチャイナショックもコロナウイルスショックも起きて、それらをすべて乗り越えての成績です。

これが1+1=3にも4にもなる商品の底力です。このまま、さらに10年間積み立てを続けたら、1+1=10の効果が出るかもしれません。

同じ商品を毎月同じ金額分買い続けるだけで、資産を増やす。それが、積み立て投資が最強の理由です。

今回のコロナショックのような不測の事態で暴落しても、毎月継続して購入し続けることで、値上がりしたときに資産はグンと増えます。

相場を読んで売買のタイミングを見極めたり、ローソク足を理解したりといった、いわゆる投資のテクニックはまったく不要です。長く持っておけばいいだけです。

私がお伝えしたいのは、「とにかく優秀な投資信託を毎月積み立て投資してみてください」の1点です。10年ぐらい続けてみると、すごさを実感できます。