初心者だからこそ「卵をぜんぶ割らない」ことに気をつければいい
投資の世界では、「卵をひとつのカゴに盛るな」という格言がよく使われます。
卵はお金、カゴは資産クラス(日本の株やアメリカ国債など投資対象の資産の種類)を例えています。
卵をひとつのカゴに盛ると、そのカゴを落としたときに全部の卵が割れてしまうけれど、複数のカゴに分ければ、ひとつのカゴを落として卵が割れても、他のカゴの卵は守られる。そこから、ひとつの投資対象だけに投資するのではなく、複数の投資対象に分散投資をしたほうがいいという意味で使われる格言です。
だから多くの個人投資家は国内の株と海外の株、債券などの複数の投資対象を組み合わせて、自分なりのポートフォリオ(組み合わせ)をつくっています。
しかし実際のところ、一人で複数の投資対象を管理するのは大変です。
それをひとつの商品でできれば、どんなに楽か。
投資信託はひとつの商品で分散投資をできるという、実は超手軽な商品でもあるのです。
ひとつの商品で株や債券、不動産など、さまざまな投資対象の複数のカゴが詰め合わせになっています。
だから、商品を1本買うだけで分散投資できてしまうというのが他の投資にはないメリットでもあります。
ここで問題になってくるのは、カゴの中身です。
たとえば、国内の大企業の株だけを集めたカゴばかりではあまり分散は効きません。
今回のコロナショックのときだけに限らず、国内の市場が何らかの原因で暴落したら、すべての銘柄が同時に値下がりする場合があります。
過去には円安の流れがあったときに外国の債券ばかりを集めた商品があり、当時は人気商品でしたが、その後円高になり、大幅に下落してしまいました。
つまり、同じ値動きをするものを集めたら分散の効果が出ないのです。いくら複数の銘柄に投資をしていても、ひとつのカゴに仕切りをつくって盛っているのと変わりありません。
だから、株だけでなく債券を組み合わせたり、日本の株と海外の株を組み合わせるなどして、カゴの数を増やすと卵を守れます。
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