冬の賞与は増加が期待できるものの、止まらないインフレのリスク

さて、このレポートでは、「2022年冬は企業の79.1%が、ボーナスや一時金などを含め何らかの賞与を支給する予定だ。また、新型コロナ下においても、賞与が2年、3年連続で増加する企業もある。値上げラッシュが続く中、賞与の増加やインフレ手当などによって消費拡大につながることが望まれる」としていますが、この文中にもあるように、目下、個人消費にとって最大の問題は、インフレによる影響であると考えられます。

消費者物価指数の上昇率は、2022年に入ってから高まっています。コアCPI(生鮮食品を除く総合)で見ると、1月から3月までは1%に満たない上昇率でしたが、4月に2.1%に上昇して以降、毎月上昇率は高まり、10月には3.6%に達しています。

4月以降、消費者物価指数が大きく跳ね上がったのは、消費者物価指数を大きく押し下げていた携帯電話料金プランの引き下げ要因が一巡したからです。実際、一部のシンクタンクでは、携帯電話料金プランの引き下げを加味しない消費者物価指数を算出しており、それによると2021年11月以降の消費者物価指数上昇率は、すでに2%に乗せていました。

その後、消費者物価指数上昇率は、8月に2.8%、9月に3.0%、10月に3.6%というように、月を追うごとに加速していますが、この背景にあるのは、一時期1ドル=150円に達した円安と、原油価格の代表的な指標であるWTIをはじめとする原油価格など資源・エネルギー価格の上昇があったからです。2022年の年初、1バレル=70ドル台だったWTIの価格は、6月に120ドル台まで上昇しました。

いくら給与や賞与が増えたとしても、インフレがさらに進めば、家計には防衛本能が強く働きます。