GPIF「伝統的4資産」の収益のブレは?

GPIFの投資対象資産は、「国内債券」「先進国債券」「国内株式」「先進国株式」の4つです。ちなみに、この4つの運用対象資産は、「伝統的4資産」と呼ばれています。

【図表5】GPIFが算定した期待収益率と収益のブレ(標準偏差)

出典:GPIFの公表資料より著者作成

GPIFは、これら伝統的4資産それぞれの期待収益率と収益のブレ(標準偏差)を【図表5】のとおり、公開しています。GPIFによれば、期待収益率が高い順に、「先進国株式」「国内株式」「先進国債券」「国内債券」となっています。また、収益のブレを示す標準偏差もこの順序になっています。

このように、GPIFが運用している4資産の中では、「先進国株式」が最も期待収益率が高く、収益のブレ(標準偏差)も「国内株式」とあまり差異がありません。ということは、最もリターンが高く、収益変動リスクもさほど高くない「先進国株式」だけに投資を集中すれば良い、という結論になりそうです。

しかし、私たちの厚生年金・国民年金を運用しているGPIFは4資産(国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券)すべてに投資しています。

また、筆者は、13年余りにわたって、8資産(国内株式・先進国株式・新興国株式・国内債券・先進国債券・新興国債券・国内不動産・先進国不動産)に投資してきました。

なぜ、GPIFも筆者も多くの資産に資金を分散して投資しているのでしょう?

それは、多くの運用対象資産に資金を分散して投資することにより、収益のブレを抑え、より安定したリターンを得ることができるからです。