投資信託の「見えないコスト」とは

紹介した通り、投資信託の販売手数料はネット証券を中心に撤廃されてきました。現在は保有中の手数料「信託報酬」にも引き下げ圧力が働いています。

信託報酬とはどのような手数料なのでしょうか。一般的な投資信託は委託会社(運用会社)、受託会社(信託銀行など)、販売会社(銀行や証券会社)で構成されており、信託報酬は運用の対価としてその3社に支払うものです。

信託報酬は投資信託の資産から日々支払われています。投資信託の基準価額は資産を口数で割って算出するため、信託報酬は基準価額の下落要因です。従って投資家から見ると、信託報酬は基本的に低い方が有利といえます。

信託報酬は「目論見書(もくろみしょ)」でチェック可能です。ただし、投資信託の運用に伴って発生する「売買委託手数料」などは、目論見書に明確な料率が記載されません。売買委託手数料は、事前にどれくらい発生するか分からないためです。過去の運用成績を開示する「運用報告書」を見ると、売買委託手数料も含め確認できます。

売買委託手数料は、信託報酬と同じく投資信託の資産から支払われるため、基準価額を下落させます。投資信託を選ぶ際は、信託報酬だけでなく、「見えないコスト」にも注意してください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。