2022年10月26日、Facebookを運営する米メタは7〜9月期の純利益が前年同期比52%減となったことを発表した。それを受け、株価は10月26日の終値129.82ドルから翌27日の終値97.94ドルまで、24%近く下落。これまで右肩上がりで上昇を続けてきた株価が決算発表を受け、2016年の水準に逆戻りしてしまった形だ。

メタは収益の9割近くをSNSなどの広告事業に依存している。そのデジタル広告では昨今、プライバシー保護の観点から規制を強める動きがある。メタの減益にはさまざまな要因が含まれるが、デジタル広告の規制強化もそのひとつと言えるだろう。さらに、規制を回避する新たな広告手段で新規参入を狙う競合企業も増えている。この記事ではデジタル広告の観点から米テック企業の動向を解説していく。

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広告市場の2大巨頭に打撃

冒頭でも触れたが、ウェブサイトなどに表示されるデジタル広告に関する規制強化が世界的に進められている。個人を追跡する技術について、使用が制限されるようになったのだ。

これまでのデジタル広告では、ウェブサイトに訪れた利用者の閲覧履歴や滞在時間を第三者が取得できる仕組みが取られていた。

少し踏み込んだ説明となるが、ウェブサイトの利用時にはユーザーのログイン情報などを一時的に記録するクッキー(Cookie)が発行される。このうち、訪問先のウェブサイトが発行するクッキーをファーストパーティクッキー、第三者が発行するものをサードパーティークッキーと呼ぶ。

サードパーティークッキーを活用するとウェブサイトを横断した個人の追跡が可能となる。たとえば、別のサイトでペットについて調べたユーザーにペット用品についての広告を表示させるなど、個人の趣味趣向に応じた追跡型広告が行えるのだ。

このような追跡技術の広告利用が見直しを迫られている。たとえば、米Appleは自社Webブラウザ「サファリ」でサードパーティークッキーを原則ブロックする機能を搭載。Googleもブラウザのサードパーティークッキー廃止を表明している。

追跡型広告は非追跡型より見込み客や潜在顧客へのリーチがしやすく、高い販促効果があるとされてきた。しかし、追跡型広告の使用が実質的にできないとなれば、スポンサーとなる広告主は莫大な広告費の削減や撤退を行う可能性もある。

現に、米Metaの7〜9月期の広告収入は前年同期比で約3.6%減少。2四半期連続の減収となった。

また、Googleを傘下に持つ米Alphabetも広告収入全体の減少こそないが、伸び悩んでいる状況といえる。

同社のYouTube含むGoogle全体の広告収入は、2020年7〜9月期から2021年同期への増加率が約43%だったのに対し、2021年7〜9月期から2022年同期では約2%増に留まった。YouTubeの広告収入のみに関して言えば、前年同期比で約1.9%減となっている。

MetaやAlphabetは広告売上世界トップ企業だ。その大手が揃って足踏みしている状況は、広告市場での台頭を狙う企業にとっては好機とも言えるだろう。