企業の求める新技術を提供できるかがキモ

投資家の立場からすると、前述のような既存企業の新規事業による成長はもちろん、スタートアップの台頭にも期待がかかる。

たとえば、顧客体験に沿った広告の表示には精度の高いユーザー分析が必要だ。顧客の行動を膨大なデータと照らし合わせ瞬時にカテゴライズし、その顧客が求める広告を提示できるようなシステム開発が必要となるだろう。

また、リテールメディアはユーザーとの接点を重視する広告形態だ。認知から検討、購入、アフターサービスなど、顧客体験を包括できるプラットフォームを確立すれば、任意のタイミングで効率的な広告の提示も可能となる。潜在顧客へのリーチのみならず既存顧客の維持にもつながるとなれば、プラットフォームを提供できるようなスタートアップへの需要や期待も高まるのではないだろうか。

市場の変わり目は新しいビジネスが生じやすい。すでに規模を拡大している企業に投資するのもひとつの手だが、値上がり益を狙う意味でも、将来有望な企業に先行投資する価値はある。市場がどのようなサービスを求めているか。デジタル広告という視点から企業の動向を分析するのも良いだろう。