充実した老後のために、資産形成によってお金の準備を始める人が増えてきています。一方、お金と同様に大切なのが「健康寿命」。“元気ハツラツ”に過ごせる体づくりも目指したいものです。
「崑ちゃん」の愛称で幅広い層から親しまれる御年91歳の大村崑氏は、近年はNHK大河ドラマ『西郷どん』(2018年)でも活躍。しかし現役バリバリに見える裏では虚弱体質や結核、肺の切除、がんなど多くの困難を乗り越えてきたのだとか。そして『崑ちゃん90歳 今が一番、健康です!』(青春出版社)には、多くの壁を乗り越えた健康の秘訣や80代で始めた筋トレについて綴られています。今回は特別に第1章「90歳「筋トレ」で、ここまで元気でっせ!」、さらに「崑ちゃん流健康法」について語られた第3章「ぼくが「若さキープ」のためにしている10のこと」の一部を公開します(前・後編の全2回)。
※本稿は大村崑『崑ちゃん90歳 今が一番、健康です!』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
体が健康なおかげで、心まで「元気ハツラツ!」です
筋トレを通じて自分の体と向き合う毎日は、文句なく楽しい。
なにが楽しいって、スクワットでも腕立て伏せでもなんでも、どれだけ上達したかが数字(回数とかバーベルの重さとか)ではっきりとわかるし、頑張っただけ、それに比例するように成果も出ます。たしかに「筋肉は裏切らない」。
数字が上がれば、ぼくの気持ちも上がります。興奮します。ぼくの穏やかで平和だった老後の日々に、筋トレが活気と生気を加えてくれたのです。
90歳の今、ぼくは心までハツラツとして、楽しい日々を送っています。
あるとき、知人がしみじみ語ったことがあります。
「どんよりと曇っている日は、気分が沈んでどうにもなりまへんねん。なんのために生きているのかわからへん。これから先、ただ年老いていくばかりやし、お迎えがくるのを待つばかりやし。うつになりそうです。崑ちゃんはそんなこと、ありませんか?」
ぼくの答えは、「ありません、なくなりました」。
筋トレのおかげでぼくには、たとえばスクワットのバーベルの重さを上げるといった、具体的な目標があります。しかも、いろいろなことに積極的になれて、活動的にもなっています。そのこと自体がうつっぽい気分を蹴散らして、沈みそうになる気持ちを浮き上がらせてくれるのです。