要注意! 虚偽申告は「詐欺罪」や「一括返済請求」の可能性

スルガ銀行の事件では融資の審査に際し、スルガ銀行が主導的に収入などの情報を改ざんしていた事例が見られました。事件ではあまり問題提起されていませんが、本来融資の申し込みで収入などの情報を偽る行為は詐欺罪に当たる可能性があるため、絶対に行わないようにしてください。

虚偽申告の危険性は刑事罰にとどまりません。収入などの条件を偽って受ける融資は重大な契約違反に該当する可能性が高く、「期限の利益」を失い、銀行から融資の一括返済を請求される可能性もあります。

期限の利益とは「返済日までは返す必要がない」ということを指します。返済日を設けてお金を借りた場合、基本的にお金を貸した側であっても期日までは返済を請求することはできません。

ただし、期限の利益は常に保証されるわけではなく、民法では返済の見込みが低くなる一定の事由に該当する場合は失うと定められています。

【民法135条「期限の到来の効果」(一部抜粋)】
法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。

【民法137条「期限の利益の喪失」】
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
・債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
・債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
・債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

出所:e-Gov法令検索 民法

さらに、融資契約では一般的に、期限の利益を喪失させる条項が盛り込まれます。虚偽申告は当該条項に該当する可能性があり、抵触すれば原則銀行の一括返済請求を拒むことができません。

このように、偽った情報で受ける融資は、将来大変な不利益を受ける可能性があります。不動産会社や銀行が促したとしても、決して虚偽申告しないようにしましょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。