円安やインフレに強い投資は?

日本ではデフレが長く続いたために、政府が掲げる「貯蓄から投資へ」のシフトがあまり進みませんでした。しかし、円安によるインフレから円資産が目減りし、投資の必要性を感じるようになった人も少なくないでしょう。

投資は預貯金と違い、将来の収益が確定していません。しかし、インフレに強い資産への投資は資産価値の目減りを防ぐ「守り」の目的もあります。リスクに不慣れな人がいきなり大きなリスクを取る必要はなく、最初は少額、または低リスクな商品から買い付けて徐々に慣れていくとよいでしょう。

為替に限らず、市場の動向の長期的な予測は誰にとっても難しいものです。そのため、避けるべきなのは何かに偏った一点集中のような投資です。

たとえば、円安の場合に米ドル建ての資産を勧められることもあるでしょう。しかし、全財産を米ドル建てにするのは危険です。資産の一部を米ドルで持つのはよいことですが、それ以外のさまざまな資産にも分散しましょう。

長期予測は難しい為替、円以外の資産も視野に入れて

ドル円が最高値を付けた2011年10月31日に、11年後に円の価値が半分になることを予想できた人はいたでしょうか。為替に限らず市場はさまざまな要因で変動し続けます。現在でも、近い将来の円高への転換を予想する声もあります。

いずれにしても過度な円安が永久に続くことはなく、いつかは収束するはずです。今後は円以外で資産を持つことの重要性が増していくことでしょう。

執筆/松田聡子

明治大学卒業後、ITエンジニア、国内生命保険会社での法人営業を経て、2007年より独立系FPとして開業。コンサルティングの他、企業型確定拠出年金講師や執筆活動に従事。人生100年時代を最後まで自分らしく生きるためのお金のアドバイスと情報発信がライフワーク。日本FP協会認定CFP、DCアドバイザー、証券外務員二種。