投資するなら押さえておきたい重要統計

米国雇用統計以外にも重要な統計はたくさんあります。網羅的なチェックが望ましいとはいえ、日々発表される統計の全ては確認できません。現実的には重要なものをピックアップして追うことになるでしょう。ここでは「米国小売売上高」と「日銀短観」を紹介します。

「米国小売売上高」は、米国商務省が百貨店や総合スーパーといった小売店の売上高を調査・集計し、毎月第2週に公表する指標です。アメリカは個人消費がGDPのおよそ7割を占めており、個人消費の強弱は一般に小売店の売上高に反映されます。従って米国小売売上高は、アメリカ経済の強さを測る重要な指標といえるでしょう。

米国小売売上高は2021年2月に寒波などの影響でやや大きく落ち込みました。しかし翌月には前月比9.8%増と急回復します。その後は短期的に上下しながらも、おおむね右肩上がりで推移しました。

【米国小売売上高】

Investing.comより著者作成

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「日銀短観(企業短期経済観測調査)」は、日本銀行が四半期ごとに全国約1万社の企業にアンケート調査を行い、結果を公表する統計調査です。注目されやすいものが「業況判断」で、景気を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて算出されます。

例えば2022年9月調査分だと、大企業の製造業では業況判断はプラス8ポイントとなりました。景気を「悪い」と感じている企業よりも「良い」と判断する企業が多かったということですが、数値は3期連続で悪化しています。一方、大企業の非製造業はプラス14ポイントとなり、2期連続で改善されました。

【日銀短観(大企業の業況判断)】

出所:日本銀行 短観

統計は市場の分析に欠かせないツールです。投資の際には、紹介したような統計を活用してみてはいかがでしょうか。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。