ドル安につながる円買い介入を米国は容認し続けるか?

では、今回の円買い介入は成功するのでしょうか。つまり円安に歯止めをかけることは出来るのでしょうか。

円買い介入実施後、1ドル=140円台まで円高が進んだものの、週明け9月26日には1ドル=143円台後半まで押し戻されてしまいました。立て続けに多額の資金を投入して円を買い支えるにしても、外貨準備高には限度があります。

プラザ合意後の円買い介入が成果を収めたのは、それを米国が望んだことが非常に大きかったと考えられます。多額の貿易赤字を抱え、貿易不均衡に対する批判を強めていた米国からすれば、自国の輸出企業にとってポジティブな材料となるドル安進行は、大歓迎でした。ドル安が米国の利害と一致したからこそ、1ドル=240円から120円という急激な円高を、米国が容認したとも言えます。

しかし、今回の円買い介入は、果たして米国にとってポジティブでしょうか。8月の米国消費者物価指数は、前年比で8.3%の上昇となりました。6月の9.1%に比べればやや低下したものの、まだ高止まりしています。米国の消費者物価指数は、1980年5月に14.7%まで上昇していますが、それ以来の高い水準です。

FRBは9月21日まで開いた会合において、過去3回連続で0.75%という大幅な利上げを決めました。何が何でもインフレを潰そうという強い意志の現れといっても良いでしょう。インフレの鎮静化を至上命題にしている米国にとって、今のドル高は好都合なのです。

そうである以上、ドル安につながる円買い介入を、米国がサポートすることはないでしょう。つまり、日銀が今後、介入を行ったとしても、恐らくその効果は一時的なものに止まり、再び円安に転じる可能性が高いと考えられます。そうである以上、日銀介入による一時的な円高は、ドル投資で短期的な値幅を取る絶好のチャンスともいえるのです。