歴史的な円安が外資の不動産買いを加速

8月12日付、日本経済新聞の朝刊1面に、「外資、不動産買い攻勢」という見出しが掲載されました。この円安局面において、日本の不動産のドル建て価格が割安になっているからです。

記事によると、「国土交通省がまとめた商業用不動産の価格指数(2010年平均=100)を基に、モルガン・スタンレーMUFG証券が算出したドル建て不動産価格指数は22年3月末時点で104.4。リーマンショック後の低い水準に並ぶ。6月末時点の試算値は約93で、同社の調査で最低だった14年に迫る水準」ということです。

円建て指数は、リーマンショック後の2012年6月末時点で98.1まで低下し、そこから上昇に転じました。2022年6月末は127.7です。その一方で、試算値ではありますが、ドル建ての指数は約93ですから、両者の間には非常に大きな乖離が生じています。

この原因は、ひとえにこの間に進んだ円安によるものです。逆に考えてみればわかりやすいでしょう。米国で1000万ドルの不動産を購入するとしましょう。ドル円が1ドル=130円だとしたら、円建ての購入価格は13億円です。それが、1ドル=100円まで円高が進めば、10億円で購入できることになります。実に3億円も安く購入できるのです。つまり自国通貨安が進めば進むほど、対外貨ベースで見た時の自国内資産の価格が安くなり、海外からの投資資金が流入しやすくなるのです。