企業の倒産件数が増加している。新型コロナウイルス感染症の影響への対策で、中小企業を対象とした持続化給付金をはじめ、いわゆる「コロナ融資」や「ゼロゼロ融資(実質無担保・無利子の融資)」と呼ばれる資金繰り支援策により、企業倒産件数は歴史的な低水準で推移していた。ただ、一部では利子支払いの免除措置の終了を見越した融資の返済をスタートさせる企業も出始めている。返済原資の確保ができない企業の中には、「あきらめ倒産」に追い込まれるとの懸念も高まっている。これから返済が本格化する中、各種調査のデータを参考に、倒産件数の増加を読み解いていく。
コロナ禍では倒産件数が減少していたが…
東京商工リサーチの調査結果を基に経済産業省中小企業庁が公開している企業倒産件数は、2019年が8383件だったのに対し、20年は前年比7.3%減の7773件。さらに21年は同22.4%減の6030件と高度経済成長期の1964年(4212件)に次ぐ異例の低水準となった。倒産件数が減少した背景には、中堅・中小事業者を対象とした持続化給付金やコロナ融資などの政策の効果と言っていいだろう。参考までに数字をみると、20―21年の倒産件数のうち99.9%以上が中小企業であることが分かる。
ただ、新型コロナウイルス感染症が国内でまん延してから2年以上が経過しても、いまだ終息には至っていない。経済活動は徐々に回復しているが、行動制限などの新型コロナウイルスによる直接的な要因以外に自動車業界を始めとした半導体不足による混乱、ロシアのウクライナ侵攻の影響などによるエネルギー価格の高騰、グローバルで加速する物価高など難題が立ちふさがっている。急激な円安も業種によっては負の影響が出ていて、経営者は難しいかじ取りを強いられている。