コロナ禍による緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の適用で、飲食店などを中心にパートやアルバイトといった短時間労働者の新規雇用ストップや解雇が相次ぎ、生活苦に陥る人が増加しました。

地域差があるとされる最低賃金の2022年度の実態を、厚生労働省の統計資料から探ります。

2022年8月に最大31円の引き上げ決定!「最低賃金」の事情

ランキングを見る前に、そもそも最低賃金(時給)とは何かと、足下の動きを確認しておきましょう。

最低賃金とは、正社員、パート、アルバイト、嘱託といった雇用形態に関係なく、すべての労働者に適用される「国が定めた賃金の最低額」。

時折、街でアルバイトやパートといった短時間労働者の時給が最低賃金を下回っていないか確認するよう促すポスターを見かけたことがあるかもしれません。あのポスターのように、アルバイトやパート勤務者の時給のボーダーラインという認識が強いといえるでしょう。

厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会により、2022年度の最低賃金は全国平均で961円と決定されました。前年度から最大31円引き上げとなり、過去最高といわれた昨年度の28円を上回る引き上げとなりました。上昇率は3.3%に達します。

昨年は過去最大の28円が全国一律で引き上げられましたが、今年の小委員会は地域の経済情勢などを鑑みて各都道府県をA~Dの4ランクに分け、引き上げ額の目安が示されました。

(参考)各都道府県に適用される目安のランク
出所:令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について(厚生労働省)


東京、神奈川、大阪などのA、茨城、栃木、京都などのBの地域は31円、北海道、福岡などのC、青森、長崎などDの地域では30円が目安額です。目安通りに上がれば、東京、神奈川に続き、大阪でも1000円を超える形となります。

最低賃金は、今回のように中央審議会の答申によって引き上げ額の目安が示されます。その後、都道府県ごとに労使による協議を経て最終的な額が決まります。新たな最低賃金は10月から適用されます。

大幅引き上げを求める労働者側と、少しでもコストアップを回避したい経営者側の双方の意見がなかなか折り合わず、通常毎年7月に決定されるところ、協議が8月に持ち越される異例の展開になりました。円安やウクライナ危機による物価高を受け、特に労働者の生計費が重視された形といえます。