最低賃金(時給)令和3年度47都道府県別ランキング

賃金引き上げが話題となりましたが、この改正が入る前、令和3年度の最低賃金について都道府県別に見ていきましょう。

一覧表を見ると、1位の東京都と47位の沖縄県の間には221円もの差があるとわかります。

職種の選択肢が限られる過疎化の進むエリアが多い地域もあれば、家計の足しにしようと配偶者の扶養内で働く人が多い地域もあるので、一概に格差を評価することはできません。また地域ごとに物価水準も異なるので、この差がそのまま家計に響くかとも限りません。

しかし、厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、短時間労働者の1日あたりの所定内実労働時間は平均5.2時間、実労働日数は14.7日。税金や社会保険料を抜きにして単純計算をすると、1位と47位との月収差は約1万7000円となります。時間給では大きな差とは思えなくても、年ベースに換算すれば最低賃金20万円もの差は決して小さくありません。

新しい雇用形態や採用スタイルの変化にも注目

この度の賃金引き上げに関する議論が例年以上に注目された背景には「物価高に賃金上昇が追い付いていない」状態の長期化への懸念が挙げられます。今回の物価高は食料やエネルギーといった生活必需品が中心に物価が上昇しているため、家計に占める生活必需品の支出割合が高くなりがちな低所得者ほど影響を受けやすくなると言われています。格差拡大を助長する可能性があり、消費が冷え込む要因にもつながるため、賃金引き上げを企業側も受け入れたのだと考えます。

一方、有識者委員は原材料費の高騰による中小企業を取り巻く経営の厳しさに触れながら「今年度の目安額は賃金支払い能力の点で厳しいもの」と明記。政府に対して、中小企業が賃上げしやすい環境整備や支援の拡充を求めました。この状況が続くかぎり、企業はこれまで以上に人件費をはじめとするコスト管理や収益構造の改善が求められるでしょう。

正規雇用と非正規雇用の差をなくしていく動きも徐々に進む中で、ジョブ型雇用など新しい雇用関係も登場してきています。また、コロナ禍により面談や面接のオンライン化が主流となるなど、採用のスタイルも変化してきました。

新しいスキルを身に着けて収入アップを目指すことに加え、収支をコントロールし、投資で資産形成をしていくなど「お金を育てる」ことも視野に入れていきたいものです。自分らしく働くために、情勢を読み解く力が求められています。