・相次ぐ投資トラブル…あなたは大丈夫? “詐欺”かどうか見分ける方法
2011年8月9日、「和牛オーナー制度」を通じ巨額の資金を集めた「安愚楽(あぐら)牧場」が経営破綻しました。出資者は7万人を超えていたとみられ、全国的に大きな被害が生じます。元経営者らは2013年に逮捕され、刑事事件にも発展しました。
いったい何が起こったのでしょうか。事件の概要を押さえましょう。
被害額4000億円超! 過去最大級の消費者被害事件
和牛オーナー制度は「和牛預託商法」とも呼ばれ、出資して和牛のオーナーになると、将来牛の売却益を配当金として受け取れるという仕組みでした。安愚楽牧場は高額配当をうたい、低金利でもあったことから多くの出資を集めます。出資の累計は2011年3月期までの10年間で6164億円にも上りました。
しかし、安愚楽牧場の経営は実質的に赤字でした。配当金や牛の育成費などの負担が大きく、集めた出資金以上に資金が流出する事態に陥ります。本来は配当の減額や停止を検討すべきところ、解約が殺到することを懸念し、安愚楽牧場は年に4~8%もの配当を出し続けました。
結局、安愚楽牧場は4300億円もの負債を抱え経営破綻します。うち4200億円は出資者に対する負債で、一般消費者に過去最大級の被害が生じてしまいました。安愚楽牧場の元経営者らは虚偽の説明で出資を募った疑いで逮捕されます。
和牛オーナー制度のように、高額な配当を約束して商品を購入させ、その運用のために商品を事業者が預かる方法を「販売預託商法」といいます。安愚楽牧場のように運用がうまくいかないケースや、そもそも運用の実態がないような悪質なケースもあり、累計の被害額は1兆円を超えました。今年6月には法改正され、販売預託商法は原則禁止されます。
【販売預託商法で大きな被害が出た事件】
・安愚楽牧場事件(和牛)
・豊田商事事件(金地金)
・ジャパンライフ事件(磁気治療機器)
しかし、改正法には抜け道があるとも指摘されているほか、そもそも悪質な業者に法令順守は期待できません。うまい投資話には安易に飛びつかないようにしましょう。