2009年8月3日、東京地裁で日本初の裁判員裁判が初公判を迎えました。女性が刺殺された事件で、被告には懲役15年が言い渡されます(求刑は懲役16年)。

裁判員制度は司法への市民参加を促す目的で2009年5月に導入されました。裁判員は有権者の中から無作為に選ばれるため、誰もが裁判員になる可能性があります。裁判員には守秘義務などが課されており、違反すると懲役刑や罰金刑に処される点に注意しなければいけません。

裁判員に選ばれると、原則として辞退はできないことになっています。今のうちに裁判員制度の概要と注意点を押さえておきましょう。

重大事件の裁判に国民が参加する制度

裁判員制度は、市民から選ばれた6人の裁判員が3人の裁判官と一緒に「有罪・無罪の判断」と「量刑の判断」に参加する制度です。裁判員裁判は全ての裁判において行われるわけではなく、市民の関心が高いと考えられる重大事件で行われます。

似たような制度に陪審制度がありますが、こちらは市民などから選ばれた陪審員が、裁判官から独立して「有罪・無罪の判断」を行う制度です。裁判員と異なり、陪審員は一般に量刑の判断には関与しません。

陪審制度はアメリカが有名ですが、実は日本でもかつて陪審裁判が行われた歴史があります。しかし日本で陪審裁判が行われた期間は1928年~1943年と短く、日本には根付きませんでした。陪審制度が日本で利用されなくなった理由は、裁判官などの専門家が陪審制度に消極的な姿勢を取ったこと、戦火が広がり費用のかかる陪審裁判が敬遠されたことなどがいわれています。