筋活の心得は毎日同じ運動をしないことと「たん活」

すでにお話ししたように、筋肉は40歳から1~1.2%ずつ減少するといわれています。それに加えて、筋活もしないとなると、60歳ぐらいからサルコペニアの状態になり、70歳代後半でフレイルになって、歩けなくなってしまうかもしれません。

歩くのに自信がなくなると、人と会わなくなったり、旅行に行かれなくなるため、脳への刺激が減って、認知機能の低下を引き起こす危険性もあります。

ですから、今まで運動習慣がなかった人は、遅くとも60歳代からは筋活を始めたほうがよいのです。

筋活とは、筋肉に刺激を与えて、少しだけ筋肉を傷つけること。筋肉の細胞が少しだけ壊れた後、細胞が再生することで筋肉量は増していきます。

運動をした翌日、筋肉が少し張るとか、ちょっとだけ痛いとかいうのは、筋肉が再生を始めている証拠です。よく筋肉痛が出てきたからといって、筋活をやめてしまう人がいますが、これはもったいないこと。ちょっとした痛みは、筋活がうまくいっている証だとわかればつらくはないでしょう。

筋活には2つの心得があります。心得1は同じ系統の筋肉に刺激を与える運動が連日にならないようにすることです。これはスクワットなどの太ももの筋活をしたら、翌日は太ももの筋肉の再生を促すために休ませて、別の系統の筋肉、たとえば腹筋や背筋の筋活を行うようにします。

つまり、毎日少しずつ違った筋肉に刺激を与えるようにするということです。本書には20の筋活運動が紹介されていますが、1日に行うのは3つから5つくらいでよいのです。それをローテーションして行います。

筋活の心得2は、たんぱく質を積極的にとる「たん活」です。たんぱく質は筋肉の材料になる栄養素です。

80歳になっても、90歳になっても、1人で旅行したり、レストランに行って食事できるようになるため、食事でたんぱく質をしっかりとることが大事です。たん活については、第3章で詳しく説明します。