マーケットの急落のタイミングで、老後の資金計画に支障が

株価の急落に直面して、実際に資産価値が大幅に目減りした場合、多くの人はそこからの回復を待ち臨みます。

しかし、先ほどの例で約24%下落した資産が元の水準を取り戻すためには、31.5%の上昇を必要とします。外国株式という単一の資産クラスでの運用とはいえ、銘柄ならびに国別の分散が行われていますから、3割以上上昇して急落前の資産価値を取り戻すためには、相応の時間を要します。

そのような状況に直面したら、老後の資金計画に支障が生じるのは必至でしょう。それも最後の1カ月、あるいは最後の1年で急落に直面した場合、それまで順調に資産が増えているほどショックも大きくなります。

ちなみに同レポートでは、最後の1か月間、あるいは最後の1年間での最大下落率を、前出の各資産クラスについて計算しています。なお期間は1984年12月末から2022年6月末までです。参考までに数字を掲載しておきましょう。

<最後の1カ月間での最大下落率>
国内株式型・・・・・・▲11%
国内債券型・・・・・・▲2%
外国株式型・・・・・・▲14%
外国債券型・・・・・・▲6%
米国株式型・・・・・・▲13%

<最後の1年間での最大下落率>
国内株式型・・・・・・▲22%
国内債券型・・・・・・▲3%
外国株式型・・・・・・▲17%
外国債券型・・・・・・▲13%
米国株式型・・・・・・▲13%

このように最後の1か月間、あるいは最後の1年間でマーケットが急落し、資産価値の多くを毀損するという状況に直面しないようにするためには、マーケットが急落する前に利益を確定させたいところです。

しかし、いつマーケットが急落するのかは誰にも分かりません。これが、リスク資産で運用することの難しさでもあります。つまり入口、すなわち資産運用を始めるタイミングについては、「積立投資ならいつ始めても良いですよ」ということで回答が出されているのですが、「どこで資産形成を止めればいいのですか」という出口戦略については、明確な答えが見えて来ないのです。