どんな仕組みで“ヘッジ”は成立しているのか?

一般的に為替ヘッジは、ある通貨を決められた時期・レート・金額で取引する「為替予約」を利用して行われる。投資家は外貨建て資産の購入と同時に為替予約をすることで、投資利益に対する為替の影響を抑えることができる。

例えば前述した、ドル=100円のときに1000ドルを投資して1ドル=80円のときに1100ドルで売却したケースで考えてみよう。株式の購入と同時に、将来の大幅な円高を見越して「1年後に1000ドルを売却して9万8000万円を受け取る」という為替予約も行ったとする。株式の売却時に得られた1100ドルに対する、円への換金額は下記のようになる。

1000ドルの部分:為替予約により 9万8000円
100ドルの部分:1ドル=80円により 100×80=8000円

為替の影響は投資元本を除いた利益100ドルだけに及ぶことがわかる。円ベースでの損益の結果は以下のとおりだ。為替予約を通じた為替ヘッジを行うことで、何もしなければ生じていた損失を回避して、利益を出すことができたわけだ。

 

ただし、為替が想定とは逆に円安へと振れた場合、場合は本来得られるはずの為替差益を逃してしまうことになる。そのため為替ヘッジは投資利益をさらに拡大するというよりも、為替による大きな損失を出さないための保険として機能するといえる。