空き家が増える家の承継問題。供給過多は値下がり方向へ

このように世帯の形が大きく変わってきたなかで、「金利の低い今のうちに住宅ローンを組んで新築物件を買う」ことが、人生設計をするなかで正しいのがどうかを、冷静に考える必要があります。

仮にこれから先、二世帯同居、三世帯同居が減っていくとしたら、家を購入したとしても、それを資産として承継する人はいるのか、という問題に直面します。実際、全国で空き家の数が年々増加傾向をたどっており、社会問題化しつつあります。

総務省の住宅・土地統計調査によると、1958年当時、日本全国で36万戸だった空き家数は、2018年時点で848万9000戸まで増加しました。これだけ空き家が増えたのは、前述したように世帯の形が大きく変貌したからです。

大きな戸建て、あるいはファミリータイプのマンションでさえも、「単独世帯」や「夫婦のみの世帯」にとっては持て余します。今住んでいる物件を売却して、もう少し自分たちのライフステージに合った住まいを探そうとしても、納得できる価格で売却できる保証はありません。物件の条件次第では、大幅に値下げしなければ売却できない、という事態も考えられます。

空き家が増え続けるということは、需給関係で言えば供給過多ですから、価格は下がる方向に作用します。ほぼ確実に資産価値が目減りすると思われるものを買うのに、長期の住宅ローンを組むことが果たして合理的な判断なのかどうか。少なくとも、「住宅ローンの金利が低い今のうちに家を買いましょう」という単純な話ではないことだけは、事実だと思われます。