この40年で大きく変わった家族と世帯のあり方

現在、2020年に行われた国勢調査の集計結果が順次公開されています。そのなかで気になったのが「世帯の家族類型別一般世帯数の推移」です。これは一人暮らしや核家族、あるいは二世代、三世代の大家族というように家族類型別の世帯数推移を示したものです。

その推移で注目されるのは「夫婦と子供から成る世帯」という典型的な「家族」の形が、徐々に少数になりつつある一方で、「単独世帯」が大幅に増えていることです。
「単独世帯」と「夫婦と子供から成る世帯」の世帯数が逆転したのは2010年調査の時点ですが、1980年調査から2020年調査までの増減率を計算すると、「単独世帯」が197.68%増であるのに対し、「夫婦と子供から成る世帯」は7.51%減になりました。

また、大幅に世帯数を減らしているのは「その他の世帯」で、ここには二世帯同居、三世帯同居といった大家族を含んでいるのですが、調査年を追うごとに、減少率の上昇が認められます。

「その他の世帯」の増減率は、1980年調査から1985年調査までが2.07%増でしたが、1985年調査から1990年調査までが3.10%減となり、そこから減少の一途をたどっています。ちなみに2010年調査から2015年調査にかけては12.85%減、2015年調査から2020年調査までが14.75%減というように、減少率も調査年を追うごとに上昇してきました。

「夫婦と子供から成る世帯」と「その他の世帯」が減少するのと同時に、「単独世帯」や「夫婦のみの世帯」が増加しているのは、子供が大きくなると親元を離れて生活し、結婚してもどちらかの親と同居するケースが減っていることを意味します。

かつては大家族が「家族」の典型的な形でしたが、高度経済成長期のなかで核家族化が進み、さらに昨今では「単独世帯」が最大勢力になりました。また結婚しても子供をつくらない「夫婦のみの世帯」や、実数としてはまだ少数だけれども、調査年を追うごとに存在感を増している「ひとり親と子供から成る世帯」、つまり離婚している世帯も伸びており、この40年間で世帯の形が大きく変わったことが分かります。