三井住友信託銀行が、人生100年時代に適応した資産形成や資産管理に関する調査・研究を目的に設置した「三井住友トラスト・資産のミライ研究所(通称:ミライ研)」ですが、このミライ研が今月、「令和の“住まい”と住宅ローン事情」という調査レポートの内容を公表しました。

年代が上がるにつれ上昇する持ち家比率

結婚して子供が出来ると、手狭になった賃貸マンションを引き払い、戸建てやファミリータイプのマンションを購入したいというモチベーションが高まる傾向があります。自身がそうなった時、恐らく「皆は住宅ローンをどうしているのかな。頭金はどのくらい用意すればいいのだろう。そもそもローンの審査は降りるのだろうか」などと、特に金銭面を心配する人も多いのではないでしょうか。住宅購入は、人生のなかで最も高い買い物と言われるだけに、お金のことが気になるのは当然です。

とはいえ、金銭の話をご近所の人たちとするのは、どうにも気が引けるという方が多いと思います。だからこそ、この調査レポートは必見です。自分の周りで住宅を購入した人たちが、どのような形で住宅ローンを組んでいるのかが分かります。

そもそもどういう住まい方をしているのか。つまり、持ち家なのか賃貸なのか、それとも実家に同居しているのかについては、全体のうち48.4%が持ち家、36.0%が賃貸、15.6%が親と同居という結果になりました。

そして、持ち家の比率は、年代が上がるほど上昇していきます。実際に数字を見ると、20-29歳が19.6%、30-39歳が33.3%、40-49歳が45.4%、50-59歳が57.9%、60-69歳が79.2%という結果でした。

40歳以上の年齢層の人たちは、その親世代から「家を構えて一人前」という、決して合理的ではない考え方を刷り込まれている可能性の高い世代でもあるので、現時点において持ち家比率が高いのは頷けます。

一方で、現在20-29歳、あるいは30-39歳の世代が今後、60-69歳の世代のように持ち家比率を高めていくかどうかは、正直なところ分かりません。後述しますが、家を買うためには多額の資金が必要です。したがって、収入が安定していなければ、なかなか家を買おうという気にはなれないものです。

しかし、20-29歳の人たちが住宅ローンを返済し続けていく今後30年間において、日本経済が成長し続けられるのかどうかについては、懐疑的な人は少なくありません。人口減少は内需の後退につながり、高齢人口の増加は若者の社会保障負担を重くします。そのうえ、賃上げペースが鈍い日本企業で働く人が多いとなれば、生活防衛意識が強まるのは必然でしょう。仮にそういう状況になった時、昭和や平成前半の若者のように、高額の住宅ローンを組んで持ち家を購入する意欲が高まるかというと、いささか疑問です。

それに、これは極端な話ですが、これからは家を買う必要さえ無くなるかも知れません。