死亡や離婚のリスクが潜むペアローンにも注意
もう一点、気になるのがペアローンの利用比率です。ペアローンとは、たとえば共働き夫婦が住宅ローンを組む際、片方の収入で住宅ローンを組むのではなく、夫婦の収入を合算して組むことの出来る住宅ローンです。ひとつの家につき、夫婦で個別に住宅ローンを設定します。夫婦が各自、それぞれの住宅ローンに対して債務を負い、お互いが相手の住宅ローンの連帯保証人になります。
ペアローンの利用比率が高いのは20-29歳で、21%がペアローンでした。次に高いのは30-39歳ですが、それでも13%です。
ペアローンは、単独ローンに比べて借入限度額を高めに設定できますが、返済期間中に万が一、どちらかが死亡した場合に住宅ローン残高がゼロになる保険「団信」の効果が薄れるというデメリットがあります。ペアローンの場合、団信は夫婦が個別に加入しますが、たとえば返済途中で夫が死亡した場合、夫が加入している団信でカバーされるのは、あくまでも夫の残債に対してのみになります。つまり妻のローンはそのまま残り、返済を続ける必要があります。
また、離婚が増えている中で安易にペアローンを組むのは、ある意味で危険です。不動産という極めて分割がしにくい資産の財産分与をどうするのか、ペアローンを一本化できるのかなど、さまざまな問題が生じてきます。
基本的にペアローンは、「夫婦2人が力を合わせて返済する」ことを前提にして稟議を通しているだけに、離婚後、いずれか片方が住宅ローンを一本化して返済することを希望しても、審査がなかなか通らないケースがあります。
こうした点を考えると、借入限度額を引き上げられるからという理由だけで、安易にペアローンを組むのは危険、と考えられます。