iDeCoは60歳まで引き出せない、無理は禁物
しかし、ここで、iDeCoは60歳まで(加入年齢によっては65歳まで)引き出せないことに注意が必要です。
立川家の場合、孝之さんの企業型DCに現在400万円の資産があります。しかし、自由に使うことができるのは60歳過ぎてからのため、生活防衛費は預金200万円のみです。
お子さんは大学に進学して、1人暮らしを始めたばかり。現在は、毎月の生活費の中から、授業料と下宿の生活費で月に19万円を支払っていることから、お子さんの大学卒業まではiDeCoに優先的に資金を回してしまうことは避けたほうがよいでしょう。
お子さんが学生の間は、特定扶養親族(12月31日時点で19歳以上23歳未満)で、通常の扶養家族より25万円多い63万円の控除がされます。お子さんが卒業し就職すると扶養控除がなくなるので、浮いた学費支払い分からiDeCoに拠出し、節税しながら老後資金を作ります。
お子さんが大学を卒業されるのは、みどりさんが53歳、孝之さんは57歳。それからお2人とも65歳までお勤めされる場合で、最大掛金で加入すれば、元本だけで〈みどりさん〉2.3万円×12月×12年=331万円、〈孝之さん〉2万円×12月×8か月=192万円の資産が作れます。所得税率をみどりさん5%、孝之さん10%とすると、それぞれ約16万円、約19万円、税制優遇を受けての資産形成が出来ます(iDeCo口座管理手数料については考慮していません)。
ちょうど、今年はiDeCoの改正が続く年で、iDeCoの加入可能年齢が65歳まで引き上げられ、かつ会社員でも企業型DCとiDeCoの併用がしやすくなります。この改正もお2人にとっては追い風と言えるでしょう。
たとえ遅くのスタートでも、長く働き、長く資産形成をしていけばよいのです。