6月の米国株マーケットの見通しとポイント

米国株の季節性アノマリーに従えば6月の米国株マーケットは弱気相場の月です。そんな6月ですが、注目すべき指標は6月3日に発表される米国雇用統計です。個人消費に影響を与える指標の一つであることに加えて、世界最大の経済大国である米国の景気動向は世界中の投資家が常に注目しています。

それからFRBの利上げ政策が与える投資家への影響にも引き続き注目です。高インフレを改善するために必要なFRBの利上げが今年の3月から始まったばかりであり、特に2回目の利上げ0.50%(通常0,25%)が与えたマーケットへの影響が予想以上の下落を誘発しました。今後も0.50%の利上げが続くことが既定路線であり、株価への影響はまだまだ予断を許さない状況が続くことが予想されます。こうした下落局面のときはFRBに逆らわないことが賢明な投資方法であり、インフレの影響を受けにくいセクターであるヘルスケア、バイオなどに注目が集まると考えられます。

おわりに―ベアマーケットの心構え―

ベアマーケットの心構えで大切なことが「強気のわな(ブルトラップ)」に注意することです。特にコロナ以降で投資を始めた方はずっとブルマーケット(強気相場)が続いていたので、今までの相場の定石が真逆になることを意識する必要があるでしょう。通常、ベアマーケットは上昇局面が続く可能性が低く、これまでのような押し目買いが通用しなくなります。個別株の場合は、売買のメリハリを意識し、上手に損切りすることが求められます。

米国株は未だに不透明な状況が続いており、今後も山あり谷ありの相場が展開することが予想されます。とはいえ、今のところ米国経済を上回るような国は存在していないことから、米国株は資産形成を考える上で今後も魅力的な投資先であることに変わりはないでしょう。

ベアマーケットも永久には続きません。米国経済は何度も何度も力強く回復してきたことは歴史が証明しています。今回も過去と同じような「景気サイクル」であると考えることが合理的であり、マーケットが悲観的になる今こそ投資を継続する絶好のタイミングであると筆者は考えます。
 

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。