一方で、2015年には渋谷区と世田谷区でパートナーシップ制度が取り入れられ、現在は209の自治体に広がっています。制度を利用するとできるようになることは自治体によって異なりますが、住まい関連でいうと、公営住宅の入居申し込みの際に同居親族として認められたり、家賃補助や住宅取得の際の補助金が申請できたりすることが挙げられます。

あくまで自治体の制度なのでその効力には限界があるものの、2人の関係性が証明できることで、民間サービスの利用時や医療機関等の利用時にも家族として扱われることが増えており、中でも住宅ローンは複数の金融機関がペアローンの対象として同性パートナーを含めるようになっています。

千里さん(70歳男性)の決断

千里さんは、パートナーの不安ももっともだと思い、法律に詳しい知り合いに相談してみました(詳しくは記事前半)。折しも、今住んでいる地域でパートナーシップ制度が導入されるそうで、まずはそれを申請するつもりです。住宅の購入については、年齢が高いことや収入の安定性なども含めて金融機関に相談してみた上で、最終的には自分の蓄えを使って買う決心をしました。リノベーションについても、これまでは趣味の楽器が弾けることや見た目を中心に計画してきたのですが、心身が弱っても最期までいられるためにはどうしたらよいかを調べ始めました。

その前に、これまでなんとなく先送りにしてきた、遺言書の作成などの相続対策にきちんと取り組むことを自分への宿題にしました。面倒くさがりのパートナーに説明するのは頭が痛いですが、後になってもっと面倒なことにならないように、年長者としてしっかり話そうと思っています。

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