投資における再現性

最後に③貯めたお金を増やす、というのはどうでしょうか。実はここが一番難しいところです。

具体的に「貯めたお金を増やす」方法は何かと言えば、投資することです。事業への投資、有価証券への投資、不動産への投資といった具合です。これも先ほど同様、自営業の人の場合は事業への投資、それも本業への投資が中心ですから、様々でしょうし、サラリーマンの場合は事業へ投資するというのは副業をすることになりますので、これも誰もができる環境にいるわけではありません。したがって、事業への投資は再現性という点では必ずしも有効とは言えないでしょう。

だとすれば有価証券や不動産への投資ということになります。ただどんな投資をするにしても、その方法に再現性があるのかどうかは非常に重要なポイントです。例えば株式投資を考えた場合、「億り人」になった人たちの中にはトレーディングで成功したという人もいます。むしろ市販されている投資の成功本にはそういうものがかなり多いように思います。また株式投資経験の無い人から見ると、日々売買を繰り返して利ざやを得ることが株式投資だというイメージもあると思います。しかしながらこれは普通に仕事をしている人にとってはなかなか難しいことです。それに株価というものは短期的にはランダムウォークをするため値動きは読めませんので、投機的要素が強くなります。したがって、短期トレードでずっと儲け続けるというのは、幸運が重なった場合か、ごく稀な才能を持った人だけでしょうから、これも再現性はあまり無いと考えるべきでしょう。

相当がんばっても時給はアルバイト以下?

実際、短期トレードで成功した人というのは株式投資家全体の中ではごくわずかです。仮にまずまずの成績を上げたとしても手取りでみるとたいしたことはありません。もし自己資金を1千万円持っている人がデイトレードで年率20%をコンスタントに稼いだとしましょう。市場の状況にもよりますが、平均すると20%の収益を上げるというのはかなり良い成績です。元金が1千万円だとすると利益は200万円です。その中から税金が約20%、40万円ほどかかりますので、手取りの利益は160万円ということになります。この金額を稼ぐためにどれぐらいの時間を費やすのかを考えてみましょう。