誰がやってもできるということ

億り人になるための方法はひとつではありませんが、実際に自らが努力してそれを目指すにあたっては、重要なキーワードがあります。それは“再現性”です。再現性とは一定の法則にしたがってやれば誰でも同じ結果が出せるということです。

資産形成において大切なのがこの再現性なのです。資産を作る方法はごくシンプルに言ってしまえば、①働いて稼ぐ、②稼いで得た収入を貯める、③貯めたお金を増やす、という3つしかありません。この内、①の「働いて稼ぐ」ことは自営業においては実に多様ですし、商売を行う上での才覚が大事ですから、心構えや習慣における法則性はあるものの、誰がやっても同じような結果が生まれるという再現性はなかなか難しいと思います。ところがサラリーマンの場合は、それほど差がつくわけではありません。もちろん役員になるのと平社員のままでは生涯年収に大きな差が出てきますが、それでも自営業や企業オーナーほどの差は生まれてこないでしょう。それに会社の中においては一定のルールや手法がありますから、それに沿ってやれば、一定の地位を得ることはそれほど困難なわけではありません。つまりサラリーマンにおいては「働いて稼ぐ」ことにも一定の再現性はあるということです。

貯めるにもちょっとした工夫は必要

では②の「稼いで得た収入を貯める」というのはどうでしょう? これについては職業を問わず、かなり再現性は高いと言えます。そもそも“貯める”わけで、“増やす”ではありませんから、誰にでもできます。ただし、貯めるためにはちょっとした工夫が必要です。入ってきたお金を生活費に回し、余ったお金を貯めるという方法ではまず貯めることは不可能です。したがって最初に給与天引きなり自動引き落としによる積立なりの方法を使って、貯める分を先にあらかじめ引いておくことが必須です。

さらに必要な工夫は支出の管理です。ここでは単に倹約ということではなく、もう少し支出の意味や目的を考えて無駄な支出が存在しないかをチェックすることが必要です。そうしないと一定額を天引きして貯めるということもいずれは難しくなってくるからです。私がインタビューした億り人の人たちは資産をこしらえる方法は様々であるものの、その元手となる資金を作るために「支出管理」をしたという点では等しく共通点がありました。