「安田講堂」の由来は実業家の暗殺

安田講堂は本郷キャンパスにあり正式には大講堂といいます。安田講堂と呼ぶ理由は大講堂が安田善次郎(やすだ・ぜんじろう)の寄付によって建設されたためです。

安田善次郎は安田財閥の創始者で1880年に「合本安田銀行」(現みずほ銀行)を設立し「銀行王」とまで呼ばれる実業家でした。大きな富を築く一方で多額の寄付を行っており、大講堂も氏から1921年に110万円の寄付を受けて建設されます。他に日比谷公会堂や両国公会堂(2015年に解体)なども安田家の寄付によって造られました。

しかしこれらの寄付は匿名で行われたため安田善次郎の社会貢献が世間で知られることはありませんでした。そのため安田善次郎は財を還元しない拝金主義者のそしりを受けてしまいます。そして1921年、貧富の格差に怒りを抱いた青年によって暗殺されました。東京大学大講堂はこの悲劇をしのび、安田講堂と呼ばれるようになったのです。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。