野村アセットなど金融業界で信託報酬率の引き下げ、統一が加速

日本経済新聞の3月25日付朝刊に『野村アセットなど信託報酬下げ 「一物多価」弊害解消へ』という見出しの記事が掲載されました。何が「一物多価」なのかというと、この記事では、同じ投資信託会社で運用されている、同一の株価インデックスへの連動を目標とした複数のインデックスファンドで、信託報酬率が異なることを、そのように表現しています。

同じ投資信託会社で、たとえば日経平均株価に連動するインデックスファンドを複数本、運用しているケースがあります。これは、特に昔から投資信託運用業を営んでいる、証券会社系の投資信託会社によく見られるケース。同じ株価インデックスを連動目標にしているにも関わらず信託報酬率が異なれば、ファンドの受益者間の公平性に疑問が生じてきます。

同記事にもありますが、たとえば野村アセットマネジメントが設定・運用している給与天引き型積立投資制度「ミリオン」は、日経平均株価への連動を目指したインデックスファンドを積立ていくのですが、このインデックスファンドの信託報酬率は年1.67%(税込み)。今どき、インデックスファンドで年1.67%もの高率な信託報酬を徴収しているものは、ほとんどありません。近年においては、最も低い料率のもので年0.2%というものもあるくらいです。

なぜ、このような料率格差が生じたのかというと、今から約30年前の料率をそのまま適用し続けているからです。今から30年ほど前のインデックスファンドの信託報酬率は、年1.5%前後が当たり前でした。

しかし、ここ数年の流れはインデックスファンドを中心にして、信託報酬率が年0.5%、あるいは0.2%という極めて低廉な料率設定が一般化してきました。結果、同一のインデックスを連動目標としているにも関わらず、昔から運用され続けているインデックスファンドとの間に、大きな料率格差が生じてしまったのです。これが信託報酬率の「一物多価」問題の背景です。

ここでひとつ疑問が浮かんできます。なぜ、昔から運用されているインデックスファンドの信託報酬率を見直さなかったのか、ということです。