運用力評価では継続性と計画性を確認
運用力の評価
これからも、継続的に計画通りのインデックス運用が行われるかどうかを評価します。なお、マザーファンドやETFを組み入れる形で運用を行うファンドでは、組み入れられるマザーファンドやETFも併せて評価の対象とします。
(5)運用会社の経営状態
インデックス運用ビジネスは、報酬率が低いため、運用会社の業績が低迷すると、事業からの撤退やコストカットの対象となる可能性があります。インデックス運用業務に関連する予算や運用者の報酬等が削減されると、運用者のモチベーションの低下や離職そしてインデックス運用(管理)力の低下につながる可能性も高まります。加えて、親会社や外部の大株主が存在する場合には、資産運用ビジネスの追及以外の理由で、その運用会社の経営方針等が影響を受ける可能性も否定できません。
判定基準
・運用会社の業績が増収増益基調、もしくは運用資産が増加し、資金流入傾向にある
・運用会社には親会社や外部の大株主は存在しない、もしくは運用会社は上場している
・有能な社員の離職や全体としての離職率の上昇などの噂や兆候はない
国内運用会社は大半が未上場もしくは上場会社の一部門となっています。財務その他の情報が得にくい場合も多いでしょう。多くの運用会社は日本投資顧問業協会に登録しており、その会社概要や業務内容などは「投資運用会社要覧」の中で開示され毎年更新されています(注4)。
(注4)投資運用会社要覧は日本投資顧問業協会のHP上で閲覧可能です
ただし、評価されるインデックスファンドが(海外の)インデックス運用の大手が運用するETFなどに投資を行っている場合には、本項目はあまり問題とはならないかもしれません。
(6)運用会社のインデックス運用ビジネスへの注力度
運用会社としての経営が安定しているだけではなく、その運用会社にとってインデックス運用が有望なビジネスであれば、さらに安心して長期投資を行うことができます。
判定基準
・インデックス運用ビジネスの大手であり、運用会社の運用資産の多くをインデックス運用が占める
・資金が流入しインデックス運用資産が増えている
・インデックス運用の商品ラインアップが多様で、新商品の投入にも積極的
(5)と同様に、評価対象ファンドが(海外の)インデックス運用の大手が運用するETFなどに投資を行っている場合には、本項目はあまり問題とはならないでしょう。
(7)運用方針/投資手法
同じ手法で長期に渡り継続して運用するためには、運用方針や投資手法が明瞭かつ合理的であることが大切です。特に、何らかの理由によりベンチマーク採用銘柄の一部への投資で運用するファンドの場合には注意が必要です。 また、ベンチマーク採用銘柄の入れ替えへの対応や、バランス型ファンドでの資産配分のリバランスも、ルール化されていることが望まれます。
判定基準
・運用方針や投資手法が明瞭に示されている
・運用方針や投資手法が合理的である
(8)運用チーム/運用者
アクティブファンドの場合と異なり、ベンチマークとの連動性が求められるインデックスファンドの運用では、経験の長さが能力の高さに繋がる傾向があると考えられます。また様々な意味で緻密な管理が求められるため、例えば組み入れ証券の売買などで、運用会社内の他のチームの手厚いサポートが受けられることが望ましいと考えられます。
判定基準
・運用者や運用チームメンバーのインデックス運用経験が豊富である
・運用者/運用チームとして社内の他のチームのサポートを受けている
(9)ファンドの構造
他のマスターファンドやETFを組み入れるインデックスファンドでは、組み入れファンドの数が増えるとそれだけベンチマークとのリターンのズレが生じる可能性は高くなります。例えば全世界に投資するインデックスファンドにおいて、ETF1本の組み入れで完結させているファンドと、日本株と先進外国株と新興国株の3本のETFを組み入れるファンドでは、前者の方がベンチマークに連動させやすいと考えられます。複数のファンドを組み入れるファンドでは、過去の連動性の確認が必要でしょう。
判定基準
マザーファンドやETFの組み入れで運用を行うインデックスファンドの場合、
・組み入れているマザーファンドやETFが1本のみである
もしくは
・複数のマザーファンドやETFを組み入れても、これまでのベンチマークとの連動性は高い