商品性の評価ではコストと情報開示に注目

商品性の評価

低コストで利用でき、市場環境や運用状況に関する情報が積極的に提供されているかどうかを評価します。

(1)直接コスト

直接コストとは、購入時手数料(注1)や信託報酬などの投資家が直接負担するコストを指します。近年では、投資信託にかかる様々なコスト水準が低下しており、インデックスファンドでは特にその傾向が強いようです。運用会社によっては、低コストを他社商品との差別化のポイントに掲げているところも現れています。

一方、アクティブファンドの場合とは異なり、インデックスファンドのコストの差は、運用力の差で正当化することは難しいでしょう。直接コストの観点からは、同種ファンドに比べて低い水準のものを選ぶことが望ましいと考えます。

判定基準
・競合ファンドに比べて割安の水準である (注2)
・期待されるトータル・リターンに対して許容できる水準(注3)で抑えられている 

(注1)インデックスファンドでは、多くの販売会社で(特にオンライン取引では)購入時手数料をゼロにしています。
(注2)インターネット上で検索可能なモーニングスター社のファンド分析情報の中に、同分類内のファンドの平均信託報酬率が記載されていますので、この数値と対象ファンドの信託報酬率を比べることは可能です。
(注3)期待リターンに対するコストの水準の考え方は、本連載の「アクティブファンドの商品性の評価」をご参照ください。

(2)間接コスト

間接コストとは、運用資産から支払われる有価証券売買委託手数料や監査費用などを指します。ある程度の規模の運用資産を有すれば間接コストの経費率は抑えられるため、コストの合計水準が高いアクティブファンドの場合には敢えて評価項目とは考えません。しかしながら、コストの合計水準が低いインデックスファンドでは、間接コストの経費率も念の為に確認することが望ましいでしょう。

判定基準
・有価証券売買委託手数料や監査費用等の信託報酬以外のその他費用が、全費用の中で極めて低水準に抑えられている 

(3)ベンチマークに関する情報

ベンチマークである市場指数への連動を目指すインデックスファンドへの投資では、ベンチマーク自体の現在の状況や特性を理解することが大変重要です。特に市場の一部に特化したベンチマークに連動させるインデックスファンドでは、ベンチマークに関する情報は限られます。ファンドの情報開示の一環として、あるいは販売会社が提供する参考情報として、投資判断に必要な情報が提供されることが望ましいと考えます。

判定基準
・以下を含む投資判断に必要な情報が、ファンドの開示情報もしくは販売会社による参考情報として提供されている

  ✓ベンチマークの採用基準や特性および構成銘柄
  ✓ベンチマークの過去のリスクやリターン 

(4)ファンドの運用状況

インデックスファンドの運用実績であるベンチマークとの“ズレ”の大きさやその理由についての情報開示は不可欠だと考えます。

判定基準
・ベンチマークとのリターン差の大きさとその理由について分かりやすく説明されている