前回のコラムで、取り上げました、「口座管理手数料がかかる」という不満、相談の現場でもよく聞きますし、口座管理手数料が安い、掛からない金融機関(運営管理機関)はどこですか?と言うご質問も良く受けます。

確かに日本では、銀行口座を持つだけで口座の維持費・管理手数料が掛かることは、まずないかと思います。また以前の銀行では、様々な費用が無料、もしくは手数料も低かったようなので、「手数料はなくて当然」という印象が強いですが、今では各種手続きに費用が掛かるようになって来ています。やはり、システムを利用するには一定のコストが掛かってくるのではないでしょうか。iDeCoも同様に費用はあり、iDeCoの場合は口座管理手数料として3つの費用から成り立っています。

《2022年1月現在》
国民年金基金連合会 105円(年金の納付チェックや給付などを管理)
事務委託先金融機関 66円(年金資産を管理)
運営管理機関 0円~418円(金融機関、運用商品を提供)

 となっています。

1つ1つの費用としては、そこまで大きな費用ではないかと思いますので、納得していただくしかありません。

ちなみに手数料は”0円”としている運営管理機関がございますが、国民年金基金連合会と事務委託先金融機関への費用、最低でも171円は、全ての運営管理機関で掛かってまいりますので誤解されないようお願いします。

少し補足です。企業型確定拠出年金を利用されている場合、上記3つの費用は、企業が負担していますので加入者のみなさんはお得に利用できていることは覚えておいてください。

※退職時に、企業型確定拠出年金の口座を継続して利用できる場合もございますが、その場合はしっかりと制度や以降の口座管理手数料を個人が負担するかなど確認しておいてください。

iDeCoのメリットとして挙げられるのが「所得控除」の効果

口座管理手数料などが掛からないのが一番いいのですが、それをカバーできるiDeCoのメリットに目を向けていただければと思います。iDeCoには、「所得控除」という仕組みがあります。所得控除は聞きなれない言葉かと思いますので、簡単にご紹介したいと思います。今は便利なツールもありますので、覚えなくても大丈夫です。

所得控除とは、納税者の個人的な事情を考慮し税負担を調整するものです。

税金を納める計算式は(収入―経費―所得控除)に対して税率で求められます。ですので、所得から控除(差し引く金額)金額が大きいほど、納める税金が抑えられることになります。つまりiDeCoを利用すると、節税をしながら積み立てられるのです。この所得控除によって2つの効果、住民税と所得税の節税効果が得られます。

住民税については、”翌年”に10%の軽減効果があります。

住民税は前年の所得によって計算されます。例えば、2022年にiDeCoを始めたとします。 

2023年の住民税は、前年(2022年)の所得に応じて計算されますが、iDeCoを利用しているため、所得が抑えられ2023年に納める住民税が軽減されることになります。手取りが増えることになりますが、翌年への影響なので少し満足感が得にくいかもしれません。

ちなみに2022年の住民税は、前年(2021年)にiDeCoをスタートしていないので、軽減されていません。

所得税については、なんと5%~45%の効果があります。

一方で、実感しやすいのが所得税です。こちらは年末調整、もしくは確定申告によって、納め過ぎた所得税が戻ってまいります。住民税については一律10%ですが、所得税については、課税所得によって積み立てた金額に応じて、5%~45%の軽減効果があります。税率が高い人ほど効果が大きくなる仕組みになっていますので、ご自身の税率を知っておくことが大事になります。