利用している金融機関によって大きく異なる、iDeCo資産の「投資信託」割合
面白いのは、どの金融機関のiDeCoを利用しているかによって、この構成比が大きく異なることですね。例えば、労働金庫のiDeCoプランを利用している人は、構成比がおよそ66:34※2と「元本確保型商品」が最も多くなっています。逆に、「投資信託」の割合が最も多いのは、証券会社のiDeCoプランを利用している人。構成比はおよそ20:80※2と労働金庫経由とは真逆になっているのです。
※2出所:※1と同様、国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」(令和3年3月末現在)
こうした特徴を踏まえ、大和証券のiDeCoプラン「ダイワのiDeCo」について、2021年11月末時点で、同じような集計をしてみました。構成比は「元本確保型商品」:「投資信託」で30:70、証券会社なんですけど、全体の傾向に近い、そんな構成比でした(苦笑)。
公務員は職業柄、保守的な運用をされているかと思いきや……
それでは、「ダイワのiDeCo」を利用している公務員の運用状況はどうなっていると思いますか? 「証券会社経由でも、公務員という職業柄、保守的な運用をされているのでは?」と思っていましたが、集計してみてビックリ! なんと、公務員だけを見てみると、その構成比は23:77、平均以上に「投資信託」が多かったのです。
これはどういうことでしょう? 証券会社を利用する人は、公務員でもリスクに果敢にチャレンジする人が多い、ということでしょうか? でもこれは、利用している金融機関の違いの説明にはなりますが、「ダイワのiDeCo」利用者の中で、平均以上に公務員が積極的な運用をしている、その理由にはなりません。
私が思うに、公務員がiDeCoに積み立てることができる上限金額が、現時点では、月額1.2万円に抑えられているから※3、それが理由だと思います。そして、老後資金として公務員には退職金もあります。つまり、ある程度まとまったお金が別に確保されているので、積立の上限金額が低く抑えられているiDeCoでは積極的な運用ができる、そんなふうに考えているのではないでしょうか。
※3 この掛金の上限金額も2024年に変更されます。詳しくは拙稿『公務員に朗報!2024年、iDeCo掛金が月額2万円にアップ』をご一読いただければ幸いです。
これはよく、「アセットロケーション」という言葉で説明される考え方※4ですが、そんな専門用語を知らなくても、iDeCoを利用している公務員は、資産運用の本質を理解している人が多いのでしょう。そして、このような本質的な理解が、iDeCoを通じた「投資の成功体験」へとつながり、公務員の皆様を起点として「貯蓄から資産形成へ」の流れがうねりとなって広がっていく……こんな私の妄想が確信に変わる日も近いかもしれませんね(笑)。今回、改めて公務員のiDeCo運用状況を確認して、そんなことを思いました。
※4 詳しくは拙稿『iDeCoのメリット「運用益非課税」を活かす"アセットロケーション"とは?』をご一読いただければ幸いです。