EVの性能を左右する電池など開発投資に関わる資金調達は必須
ガソリン車の構成部品数は約3万点で、EVに移行した場合はおよそ半分に減るといわれている。高度なものづくりが求められるガソリン車に比べ、EVは異業種からの参入障壁が低い。これまで車に関わらなかった米国のアップルや中国の新興企業も参入を計画しているのは象徴的な動きだ。日本企業でも、1月にソニーグループがEV事業の参入を宣言したことが大きな話題となった。
だからと言ってEVの開発が容易に進むかといえば疑問である。単に走るだけのEVなら比較的容易に作れるが、安全で便利、過酷な環境にも耐えうる車に仕上げるには莫大な開発費用が必要になるからだ。特にEVの基本性能を左右する電池技術の進化が不可欠となる。現在は「リチウムイオン電池」が主流であるが、安全性に優れ航続距離や充電時間の課題を解消する次世代の「全個体電池」を含め、各社は電池関連での協業や投資・開発を進めている。
米コンサルティング会社のアリックスパートナーズの調査によると、25年までの5年間で世界の大手自動車メーカーによるEVへの投資額は3300億ドル(約40兆円)に達すると予想。VWは26年までにEV向けに520億ユーロ、メルセデス・ベンツも8つの電池セル工場を新設するなど30年までに400億ユーロの投資の投資を計画する。フランスのグループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が合併したステランテスは25年までにEVに300億ユーロを投資すると発表している。