見かけることが多くなったフレイルに無縁の高齢者

現在94歳の指揮者、ブロムシュテット氏の姿は、テレビでもおなじみだが、背筋をピンと立ててオーケストラを指揮する姿は、年齢を全く感じさせない。酒もたばこも全くやらないベジタリアンだそうだ。従来から健康に人一倍気を遣ってきたようだが、いまは仕事をやり過ぎないことをモットーにしている。高齢者は、疲れをためることが一番よくないと説いている。

身近にもカクシャクたる人がいる。94歳になっても、毎週ゴルフをプレーする人がいた。健康の秘訣を聞くと、人間も動物だ、家事でも何でもよいから意識的に体を動かすことが大切だと強調される。

その方が、ある会合で会の運営に配慮が足りなかったこともあり、立腹され途中退場されようとするのを、60代の筆者がエレベーター間際で、手を握り引き返してもらおうとしたことがある。しかし、抵抗されるその腕力には驚かされた。日頃の鍛錬ぶりが実感された。同時に、経緯を説明するとすぐに理解を示し、席に戻ったのち乾杯の音頭を取ってくれる。その年齢を感じさせない柔軟な姿勢にも感銘したものだ。

なお、ワシントン大学による「シアトル縦断研究」(約5000人を50年以上追跡調査)によると、認知力を測定する6種類のテストのうち4種類で、高齢者が20代を上回っていた。また、15%の高齢者は若い世代より記憶力が優れていた。衰える一方でないことが立証されている。

また、知力だけでなく、体力でも日頃の生活次第で大きくは劣化しないことを裏付ける研究報告もある。年齢を重ねることに、マイナスイメージを持ち過ぎることはよくないようだ。

執筆/大川洋三

慶應義塾大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)に入社。 企業保険制度設計部長等を歴任ののち、2004年から13年間にわたり東北福祉大学の特任教授(証券論等)。確定拠出年金教育協会・研究員。経済ジャーナリスト。
著書・訳書に『アメリカを視点にした世界の年金・投資の動向』など。ブログで「アメリカ年金(401k・投資)ウォーク」を連載中。