フレイルを予防するための3本の柱
まず意識すべきフレイルは意外にも“社会性の虚弱化”だとされる。これが“心・心理の虚弱化”につながり、やがて“身体の虚弱化”を引き起こすとされる。
その予防策としては、社会参加と食事(栄養)、身体活動の3点に留意することが大切とされる。そのポイントを追う。
1.社会参加
家族や友人、あるいは地域の人との交流が少なくなったり、何かを学んだり情報を得ようとする意欲が減退すると、生活範囲が狭まり神経・心理状況も低調となる。さらには栄養などの食生活にも気を配ることが少なくなり、身体活動もおろそかとなる。その結果、サルコペニア(筋肉量が減少し筋力や身体機能が低下する状態)を引き起こし、内臓の劣化も招いてしまう。
特に、交流が職場中心だった男性が定年になると、家にこもりがちになる人がいる。友人と会ったり、趣味の会やボランティアなどをすることで人との接触を図ることが欠かせない。社会性を失うことで、フレイル化が進むとされる。
105歳の長寿を全うした故日野原重明医師は、健康の3つの要点とされる“快食・快眠・快便”以外に、人と楽しく話し合う“快談”の必要性を強調した。英語にも「笑いが最善の薬」(Laughter is the best medicine)ということわざがある。会話の中で笑い転げる心地よさは、心身を活性化させるようだ。
2.食事(栄養)
食事はバランスよくとることが大切だが、特に年齢を重ねた場合、筋肉・骨・血液の材料となるタンパク質の摂取に気を配る必要がある。タンパク質の摂取には肉や魚、卵や乳製品などの動物性食品にとどまらず、豆類などの植物性でも対応できるが、炭水化物や脂質といった他のエネルギー産生栄養素などとのバランスも肝心だ。
同時に、口腔機能が衰えると肉類が食べにくくなり、つい噛み応えのない炭水化物や糖質ばかりに手を出すようになるリスクがある。歯科への定期的な通院による口腔関連のチェックは欠かせない。
3.身体活動
周りを見渡しても、健康で長寿の人には定期的な運動を心がけている人が多い。中には運動するのが嫌いだとして、周りの忠告にもかかわらず運動を怠けた結果、やがて後悔しきりになった人も見かける。運動に真面目に取り組む人は、意志の強い人であり健康維持・増進面で留意すべき他の事項にも前向きに取り組む傾向があるようだ。
たっぷり歩くことを習慣にしたり、腕立て伏せやスクワットなど筋肉を鍛える運動は、シニアになる前から身につけたいものだ。