「共通KPI」は継続的に見ていくことが大切

——今回はこの3つの指標のうち、①の「投資信託・ファンドラップの運用損益別顧客比率」について解説してもらいます。この指標について、各社の違いがどの程度あるのか、教えてください。

以下のグラフは、金融庁が2020年3月末時点で開示した287社の金融機関のデータを集計し、横に並べたものです。

 

中心部分の横軸がプラスマイナスゼロの水準です。一番右の金融機関はほとんどの顧客に利益が出ていますが、一番左の金融機関では、逆にほとんどの顧客に損失が発生しています。金融機関によって、これだけの違いがあるのです。

ここでネット証券の代表をSBI証券、対面証券代表を野村證券、メガバンク代表を三菱UFJ銀行として、2021年3月末時点の最新データを見てみましょう。まずSBI証券ですが、94.1%の顧客の運用損益がプラスとなっています。そして野村證券は92%がプラス、三菱UFJ銀行は87%がプラスという結果になっています。

3社とも優秀な結果ですが、2020年3月末時点では大きく状況が異なっていました。例えばSBI証券では利益が出ていた顧客はわずか21.6%。2020年3月はコロナショックの影響を受けていた時期ですので、各社で損失を出した顧客が多く出ていました。

このようにその年によってブレの大きい指標ですので、単年度だけでの比較はしないほうがいいでしょう。