資産運用を始めるに当たって、どこの金融機関で始めればいいのか? 今まさに迷っているという人も少なくないかもしれません。もちろん、その基準にはさまざまなものがあるのでしょうが、実は金融庁が「共通KPI」と呼ばれる指標を公表していて、これを見ると、銀行や証券会社などの金融機関ごとに「利益をあげている顧客がどれくらいいるのか」が分かるそう。『Finasee(フィナシー)』を運営する想研の専務取締役である菊池裕が、この「共通KPI」について解説します。
※この記事は、2021年12月に実施したフィナシー・資産づくりセミナー「ほとんど誰も知らない金融機関選びの基準『共通KPI』とは①」をダイジェストにして記事化したものです。
金融機関を同じ基準で横比較できる「共通KPI」とは?
——金融機関選びの参考情報として、今回、共通KPIに注目した理由は何でしょうか?
共通KPIは金融機関を選ぶ際に参考になるにもかかわらず、金融庁が2019年に行った調査では、76%の人が「全く知らない」と回答しているほどマイナーなものだからです。けれども、資産運用をどの金融機関で始めるのかを検討するに当たって、その候補となる金融機関で投資信託などを保有している顧客のうち、利益が出ている人の割合が分かったら、参考になると思いませんか? それが公表されているのが共通KPIなんです。
——共通KPIとは何か、もう少し詳しく教えてください。
共通KPIの「KPI」とは、Key Performance Indicatorの略したもので、日本語に直すと「重要な業績評価指標」です。これに「共通」が付くので、共通KPIは金融機関を同じ基準で横比較できる重要な業績評価指標と言えます。具体的には、次の3つがあります。
①投資信託・ファンドラップの運用損益別顧客比率
②投資信託の預り残高上位20銘柄のコスト・リターン
③投資信託の預り残高上位20銘柄のリスク・リターン
①はその金融機関で投資信託かファンドラップを保有している顧客の含み損益の状況を見える化したもの。②と③はその金融機関で販売されている投資信託で、顧客の保有残高が多いものについて、コストとリターンの状況、運用成績のブレの大きさとリターンの状況を見える化したものです。これらは毎年3月末時点で集計して公表され、毎年更新していくことになっています。