「老後の備えは自分で作らなくてはいけない」そんな危機感がコロナ禍でさらに膨らみ、投資を始める人が増えている。しかし、そうはいっても奥深いのが投資の世界。慣れれば慣れるほど疑問や不測の事態に直面することも増えてくる。

そこで、この連載では「資産形成3年目だからこそ知りたい」用語や投資情報を解説。第2回は「iDeCoの60歳以前の引き出し」。原則60歳まで引き出せないiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の“例外”について解説する。

iDeCoで運用する資産、原則は「60歳まで引き出せない」

まずはiDeCoの制度内容について改めて確認しておこう。

iDeCoは自分で掛金を拠出(投資)し、資産運用を通じて将来の年金資産を積み立てる、私的年金のひとつ。定期預金や株式、投資信託など、指定された金融商品から自分で組み合わせを選んで運用し、将来の受け取り資産は運用結果に応じて増減する。

最大のメリットは拠出時、運用時、資産受取時に税制優遇があること。拠出時は掛金が全額所得控除される。簡単に説明すると掛金の分だけ課税対象となる金額が減り、納税額も少なくなるというわけだ。そのほか、運用中の利益が非課税、受取時も一定額までは税金がかからない。

メリットの多いiDeCoだが、注意点もある。その一つが、「60歳まで引き出しができない」という原則。貯蓄が苦手な人にとっては確実な資産形成を後押ししてくれる制度といえるが、自由に引き出せない不便な側面もある。

しかし、iDeCoは始めてからが長いもの。万が一の場合や家計が苦しくなったときなど、途中解約や掛金の減額が必要になることもあるだろう。実は、この原則には3つの例外がある。今回は60歳以前で資産を受け取れるケースについて見ていきたい。