評価項目は多岐にわたる
定性評価に注力する評価機関が用いる評価項目は非常に細分化が進み、その数は現在では150を数えます。概ね以下のような項目から構成されています。
運用体制については、経営が安定し人材の層が厚い運用機関や運用チームの評価は高くなる傾向があります。運用プロセスでは、投資哲学が明確で、運用手法に独自性や経済合理性があり、また要所を押さえた堅実なリスク管理が行われていると思われるファンドの評価は高くなります。情報開示に関する項目数は限られますが、情報が速く正確に詳細に提供されるファンドの評価は高くなる傾向があります。
本稿の「アクティブファンドの運用力の評価(前編)」と「同(後編)」で筆者が提言しました17の評価項目は、そのエッセンスを残したまま単純化したものです。
運用力評価の有効性を検証する
定性評価レーティングの良否と評価後のパフォーマンスの良否の関係を検証
定性評価に注力する評価機関では、高い定性レーティングを付与したファンドほど、評価後に良好な運用成績を上げているかどうかを検証し、その評価手法のさらなる改善に繋げるよう努力をしています。また検証結果をリクエストに応じて開示しています。
評価の有効性は可能な限り3つの尺度で継続的に測定するよう努めています。
● 運用目標の達成確率
各評価ファンドが評価後にそれぞれの運用目標を達成しているかどうかを確認し、レーティングごとに集計比較します。高レーティングのグループの方が達成確率が高くなっているかどうかを確認します。
● 同種ファンド平均リターンのアウトパフォーム確率
各評価ファンドのレーティング付与後のリターンを、同種ファンドの平均リターンと比較し、レーティングごとにどれだけの割合のファンドが同種ファンド平均を上回るリターンを挙げているのかを測定します。レーティングが高いほど、アウトパフォームする確率が高くなるかどうかを確認します。
● 評価結果を利用した投資助言を提供する運用商品・サービスのパフォーマンス
これまでの測定の結果、定性評価レーティングには有効性が見られるため、当該評価機関では評価結果に基づき選定したファンドを活用した投資助言を行っています。投資助言を提供している運用商品やサービスのパフォーマンスを測定し、それぞれが運用目標を達成しているかどうかを確認します。
なお、本稿の「評価機関による評価情報の利用」でもご説明しましたように、評価結果と評価後のパフォーマンスの関係を測定検証し、お客様に対して評価情報の有効性を開示している評価機関は少数に留まっています。