年末買い&年始売りの「お年玉トレード」の勝率は?

長く株式取引をしている方は「ご祝儀相場」という言葉を聞いたことがあるでしょう。大きな慶事があると、それを祝うように株価が上昇することです。明確な理由はないものの、経験的に観測できる「アノマリー」の1つとして考えられています。

新年は立派な祝い事ですから、これを利用すると利益を得られるかもしれません。年末最後の価格で買い、翌年最初の価格で売る「お年玉トレード」を検証してみましょう。

【お年玉トレードの定義】
●大納会の終値(おわりね)で買い、翌年の大発会の始値(はじめね)で売る

2000~2020年の日経平均(全21回)で検証したところ、プラスは14回となり、勝率は約66.7%となりました。累計の収益率は7.46%で、100万円で毎年「お年玉トレード」を実施していたら約7万2000円の利益を得られた計算です。

【お年玉トレードの実績(2000年~2020年の日経平均)】

 

あくまで過去の実績ですが、7割近い勝率は魅力的ですね。2022年の運試しにいかがでしょうか。もちろん、投資は自己責任でお願いします。

今年の負け分は「繰り越し控除」で取り戻す!

株式で損を出してしまった方は「損失の繰り越し控除」をおすすめします。損失を3年間にわたって繰り越せる制度で、翌年以降の利益から差し引いて税金を計算できます。

例えば2021年に10万円の損失を出し、2022年に10万円の利益を出すとします。2年間で考えればプラスマイナス0ですが、税金は年単位でかけられるため、2022年に約2万円の税金を払わなければいけません。実質的に利益がないのに税金がかかるのは不合理ですよね。

そこで繰り越し控除です。2021年の10万円の損失を2022年の10万円の利益から差し引けるため、通算すれば利益がなくなり税金が発生しません。税負担を取引の実態に近づけることができました。

出所:国税庁 タックスアンサー No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

損失は3年間繰り越せるため、2021年の損失は2024年まで繰り越せます。ただし確定申告を毎年しなければいけません。例えば2021年の損失を2024年の利益で相殺する場合、2022年、2023年に取引がなかったとしても、それぞれの年で確定申告を行う必要があります。

繰り越し控除の手続きそのものは難しくありませんが、確定申告を行うことで少し注意点もあります。主なものを以下にまとめました。

●20万円以下の雑所得などの申告不要の特例が使えない
●ふるさと納税におけるワンストップ特例が使えない

出所:国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
出所:国税庁 タックスアンサー No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)

来年はよい相場になるといいですね。よいお年をお迎えください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。
AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。