老後はいくらもらえる? 年金の計算方法

老後に受け取れる年金は日本年金機構の「ねんきんネット」で試算できますが、大まかになら手計算も可能です。

国民年金は比較的簡単に計算できるでしょう。その年の老齢基礎年金の満額(2021年4月~2022年3月は78万900円)に、保険料の納付割合を掛けるだけです。

【老齢基礎年金(国民年金)の大まかな計算方法(65歳以降)】
●78万900円×保険料納付月数÷480カ月
※2021年4月~2022年3月

出所:日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)

加入期間40年間(480カ月)のうち、全期間納付するなら満額が支給されます。仮に2年間(24カ月)納付しない期間がある場合、満額から5%差し引かれます(24カ月÷480カ月=0.05)。

厚生年金は少し複雑です。「本来水準」と「従前額保障」の2つの式に報酬額を当てはめて計算し、金額が大きいほうが採用されます。

【老齢厚生年金の大まかな計算方法(65歳以降の報酬比例部分)】
●本来水準
(2003年3月までの賞与を含まない累計報酬額×0.007125)+(2003年4月以降の賞与を含む累計報酬額×0.005481)

●従前額保障
{(2003年3月までの賞与を含まない累計報酬額×0.0075)+(2003年4月以降の賞与を含む累計報酬額×0.005769)}×0.999

※「本来水準」と「従前額保障」のいずれか高いほうが適用
※1946年4月2日以降生まれの場合
出所:日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)

例えば2003年4月以降に年収400万円で40年間働くと、累計の報酬額は1億6000万円です。本来水準は87万6960円、従前額保障は92万2116円となるため、この場合は後者が採用されます。

この方が20歳の誕生日から60歳に至るまで欠かさず働いた場合、国民年金も満額納めていることになります。従って、受け取れる年金額は合計で170万3016円(78万900円+92万2116円)となり、大まかに月に約14万円受け取れるといえるでしょう。

実際には報酬額に「再評価率」という賃金の上昇率を加味した数値を掛けること、また「加給年金」などその他の年金があることなどから、この計算は実際の年金額と一致しません。大まかな計算のため、あくまで参考にとどめておいてください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。
AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。