2021年シーズンのプロ野球は、史上稀に見る大激戦となった日本シリーズをヤクルトが制し、20年ぶりの日本一に輝いて幕を閉じた。惜しくも頂点の座にあと一歩届かなかったオリックスには、何が足りなかったのだろうか。

技術的な分析は専門家にお任せするとして、他の11球団との比較で明確に“足りない”ものがあった。――それは「年俸」である。

平均年俸額はソフトバンク、巨人の半分以下

日本プロ野球選手会が発表した2021年シーズンの年俸調査結果によると、オリックスは平均年俸額が2640万円と12球団で最も少ない。上位を見てみると、ソフトバンクが6932万円でトップ、2位が巨人で6587万円、3位が楽天で5887万円と、いずれもオリックスとは2倍以上の開きがある。ちなみに日本一になったヤクルトは7位の3632万円となっている。

【2021年シーズン球団別の平均年俸額(総額)】
1位 ソフトバンク 6932万円(41億5948万円)
2位 巨人 6587万円(36億8866万円)
3位 楽天 5887万円(37億6744万円)
4位 西武 4114万円(25億940万円)
5位 広島 4024万円(24億9471万円)
6位 日本ハム 3680万円(22億8169万円)
7位 ヤクルト 3632万円(21億7912万円)
8位 DeNA 3479万円(20億8766万円)
9位 中日 3364万円(20億5233万円)
10位 ロッテ 3032万円(18億7970万円)
11位 阪神 2886万円(17億6064万円)
12位 オリックス 2640万円(16億1028万円)
※金額は選手会所属の支配下選手(外国人選手と育成選手は含まれない)の自己申告による

12球団平均は4174万円、パ・リーグ平均は4381万円だから、いかにオリックスの2640万円が少ない(足りない)のかが分かる。

もっとも、“足りない”というと語弊があるかもしれない。筆者も自分で書いていて「何が足りないだ、2000万円以上ももらっておいて」とつっこみを入れたくなる。何せ日本の会社員の平均給与は約433万円(国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査)なのだから、プロ野球選手の報酬が、いかに高額かが分かる。

ともあれ、オリックスの平均年俸額が12球団最低であるのは事実だ。

年俸が高いということは、「活躍している」「良い成績を残している」ということであり、年俸総額が高いということは、そうしたスター選手が多いということだ。すなわち、平均年俸額が高い球団というのは、強い(であろう)球団だといえる。

では、なぜオリックスはそんな強い(であろう)“上位球団”を制して優勝できたのか。