「2022年度税制改正大綱」の注目ポイントは?

2021年度の税制改正大綱では、生前贈与を利用した富裕層の負担回避をいかに防止するかが検討事項とされていた。そのなかで示されたのが、「相続税と贈与税の一体化」だ。具体的にどのような施策が行われる可能性があるのか、鴛海氏によると……

・贈与税の暦年課税制度を見直し、相続税の課税対象とする生前贈与の期間を3年からさらに延長
・贈与税の暦年課税制度を廃止し、相続時精算課税制度に1本化

の2案が濃厚だという。

「暦年課税の廃止、あるいは相続税の課税対象となる生前贈与の期間を延長することで、いつ資産を渡しても税負担が変わらない『資産移転の時期に中立な税制』を構築する狙いがあります。ただし、すぐさま全面的な適用がされるとは考えにくく、とりあえずは相続税の課税対象となる生前贈与の期間を徐々に延長するといった措置が取られるのではないでしょうか」(鴛海氏、以下同)

前述の通り、現行制度では被相続人の死亡時から遡って3年の間に贈与された財産は、相続税の課税対象として扱う。鴛海氏によると、今回の税制改正においては欧米諸国を参考にする可能性があり、なかでもドイツの10年間、フランスの15年間という期間を参考にした期間の生前贈与が相続税の対象になる可能性があるというのだ。

仮に制度改正が行われたとしても、​​課税当局が現時点から過去10年以上に遡って被相続人の生前贈与の額を調査することは現実的ではない。施行は相続財産に含める生前贈与の対象期間を段階的に伸ばしていくといった形で行われる可能性が高いと考えられ、対策する余裕は十分にあるといえそうだ。